王子なドクターに恋をしたら
それから、彼といろいろ話をした。
あたしのことも彼のことも。
彼はプライベートなことも惜しみなく教えてくれる。

彼は高槻和泉(たかつきいずみ)さん29歳。
男3兄弟の真ん中で、お兄さんは結婚していて昨年甥っ子が生まれてその可愛さにメロメロなのだとか。弟さんは大学卒業して高槻先生と入れ替わるようにアメリカの会社に就職するため渡米したそう。なんかすごい…。
ちなみに独身で恋人も好きな人も現在いないって。
ふふっ、いいこと聞いた。

高槻先生の家族はみんな会社勤めで先生だけがお医者さんだという。
何でもアメリカ人のお母さんが病に倒れ亡くなったことが切っ掛けで医師を目指したのだとか。
今は東京の明里病院に勤めてる外科医で2年ほどアメリカの病院に研修に行っていて帰ってきたばかりで、丁度ここの院長先生がぎっくり腰になり応援を要請されてまだ担当患者もいなかった高槻先生に白羽の矢が当たったそうだ。
加えて斗浦部総合病院の高槻清治(たかつききよはる)院長先生は叔父なのだそう。

院長先生の名前も知らなかったあたしはへえ~そうなんですねぇ、と感心してると首を傾げた高槻先生が覗き込んでくる。
ちょうど雲に隠れてた月がまた顔を出し、間近に迫る綺麗な顔が輝いて見えてドキドキしてきた。心臓の音が彼にまで聞こえてきそうだ。

「ねえ、その敬語やめようよ。呼び方も、高槻先生なんて、ここは病院じゃないし君は患者さんじゃないんだから」

「…え、でも、なんて言ったら…?」

高槻先生は年上だしお医者様はどこに行っても先生って呼ばれるものだと思ってたあたしは困ってしまう。

「和泉でいいよ。僕も千雪って呼ぶ」

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