王子なドクターに恋をしたら
にしても鈍感って酷いな。
確かに逃げられなかったけど、耳元で「ただいま、ちゆ」って甘く囁かれたらキュンときて止まるでしょ、普通。

それにお兄ちゃんに彼氏が出来ましたなんて報告なんてしないよ!
無言で兄弟で睨み合ってると和泉くんがまあまあと二人を宥める。

「予定より早くこっちに来たもので、千雪を驚かせようと思った僕の行動も悪かったから、千雪を攻めないであげてお兄さん」

「…章人(あきひと)。名前でいいですよ、お兄さんだなんてあなたの方が年上でしょう?」

ちょっと恥ずかしげに肩を竦めてお兄ちゃんが和泉くんを見遣った。
それに驚くあたしは隣をちらりと見ると同じく驚いた顔をしてた和泉くんは嬉しそうな顔をする。

「うんありがとう、章人くん。僕も名前で呼んで?」

「…じゃあ、和泉、さん」

もじもじしてるお兄ちゃんにまたもや驚いてあたしは目を瞠った。
そんなあたしと目が合ったお兄ちゃんは慌てて目を逸らすけど、見える耳がほんのり赤い。
和泉くんって、男女問わず好かれるらしい。
なんて人たらしなんだ!と和泉くんを見るとあたしの視線に気付いた和泉くんがあたしにも微笑んだ。

ああ、やっぱり和泉くんの笑顔は素敵だなあ~。
つい頬を緩めていると、お風呂から上がってきたお父さんとお鍋を仕込んでいたお母さんが一緒に現れた。

「さあさ、みんなで食べましょう!」

出てきたお鍋はカニにホタテにエビにシャケがふんだんに入った豪華な海鮮鍋。
あたしたち家族に和泉くんはすんなり溶け込み和やかに夕食を楽しんだ。

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