王子なドクターに恋をしたら
「私達の出会いは遅くてね、私が38歳で主人が41歳の時なの。付き合い出してこれは最後の恋だと自覚したばかりの時に主人が東京に帰らないといけなくなってね。一年くらい遠距離恋愛してたのよ」

「え?そうだったんですか?」

二人とも初婚だそうでそれなりに恋愛してきたけどその年まで結婚に至らなかったのは二人が出会うためだったんだとお互い運命を感じたそう。
なんだかとっても素敵。
しかも聡子さんたちもあたし達と一緒で遠恋してたなんて。あたしはたった2カ月でも寂しくて耐えられないのに一年も逢えなかったなんて想像もできない。

「そう、もう10年以上前の話だけどね。で、逢いたくて逢いたくて私の方が痺れを切らして東京に逢いに行ったのよ。その時私もいい歳して迷子になって大変だったの。主人にはびっくりさせようと思って内緒で来てたけど結局主人に連絡して迎えに来てもらったっていう情けない話なんだけど。結果主人をびっくりさせる事には成功して逢いに来たことを喜んでくれたの。そのお陰で結婚出来たと私は思うのよ」

「そうですか…素敵ですね」

「うふふ、そう?和泉さんも千雪さんが逢いに来たらきっと喜んでくれるわよ?」

「そ、そうでしょうか…」

クスクス笑う聡子さんにあたしは照れと不安で曖昧に笑う。
聡子さんも好きな人を追いかけてここまで来たんだ、今同じことをしてるあたしがしてると思うととても感慨深い。

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