王子なドクターに恋をしたら
着いたのは、商業施設とオフィスビル、レジデンスと大病院が集まった複合施設で銀座に匹敵するほどのセレブタウンだった。
老舗の多い銀座より新しくてさらに煌びやかな世界にあたしは圧倒を越して呆然としてしまった。

ここが、和泉くんの本来住んでるところなの?
田舎の小さな一軒家で生活してる和泉くんしか知らないあたしはここに和泉くんが住んでるなんて信じられないでいる。

「叶さん今診察を終えて帰る所らしいから病院まで迎えに行きましょう」

「…は、はい」

慣れてる様子の聡子さんに付いて商業施設とオフィスビルの間にある桜並木を歩いて行った。
北国斗浦部ではまだ雪深いというのに、ここはもう桜が五分咲きぐらいで道行く人が桜を見上げ見惚れている。
去年和泉くんと二人で見たかったけど見れなかった桜。ゆらゆら揺れる小枝に小さく咲いてるピンク色を見て逢いたい気持ちが募ってしまった。

「あ、あれ、叶さんじゃないかしら。和泉さんも一緒だわ」

「え?」

ついよそ見をしていると横を歩いていた聡子さんが言ったのを聞いて目を向けた。
お腹の大きな女性と背が高く栗色の髪にブルーの瞳をした男性が一歳くらいの男の子を抱いて病院から出てくるのが見えて、まるで幸せ家族を絵に描いたようなその光景に目を瞠った。
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