王子なドクターに恋をしたら
夜10時を回った頃、叶ちゃんの陣痛の感覚も短くなってきてそろそろ病院に行こうかと言う時、お手洗いに行っていた叶ちゃんが強張った顔で戻ってきた。

「叶ちゃん大丈夫?」

「今、痛みが来てて…破水したみたいです」

「えっ!」

痛みで顔を歪める叶ちゃんにあたしは慌てて駆け寄り支えた。
和泉くんは素早く病院へ電話して、聡子さんは荷物の用意をテキパキとこなす。

「車を回してもらうように手配したからすぐ行こう。ちゆ」

「あ、はい!」

和泉くんがあたし達の前に来るとオロオロしてるあたしを呼んだ。

「僕と聡子さんで叶ちゃんを連れて行くからちゆは寝てしまった來翔を見ててほしい」

「あたし一人で?だ、大丈夫かな…」

「大丈夫。來翔はちゆに懐いてるみたいだし、さっき寝たばかりだから暫くは起きて来ないよ。これから病院に行ってもまだすぐには産まれない。頃合いをみて連絡するから來翔を連れて病院に来て」

「うん、わかった」

一人で赤ちゃんをみるなんてしたこと無いから不安はあるけど今來翔くんをみれるのはあたししかいないと思ってコクコクと頷いた。

「ごめんね、千雪ちゃん。來翔のことお願いします…」

「大丈夫。任せて」

痛みで大粒の汗をかく叶ちゃんが辛そうであたしまで苦しくなってきた。

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