王子なドクターに恋をしたら
信じてやってほしいだなんて、今あたしが悩んでることもお兄さんは知ってるような口ぶりにあたしは曖昧に笑うしかなかった。

あの日それだけ必死であたしのことを想い逢いに来てくれたことは嬉しかった。
けど今和泉くんが何を考えてるのかわからない。
この不安って何だろうな?

「そういえば、和泉は今日外来で午前診療がそろそろ終わる頃だったかな?外科病棟はちょうどこの下の階だ」

そう言ったお兄さんはあたしから來翔くんを抱き上げまた笑った。
思わず叶ちゃんを見ると笑顔で頷いてる。

「…あ、あたし用事思い出したから行くね。また来るね叶ちゃん」

そろそろと立ち上がりお兄さんにペコっと頭を下げてあたしはそそくさと病室を出た。

そのまま階下につづく階段を降りなぜかコソコソとあたりを見回しながらどこ行く宛も無く歩いた。

お兄さん達に背中を押されつい来てしまった。
ここが和泉くんが働く場所なんだ。
斗浦部でも病院には一度も行かなかったから和泉くんの働く姿を見たことがなかった。
お仕事中だから逢うのはやめた方がいいと思うけど、ちょっとだけ、遠目で見るくらいいいよね?

キョロキョロ挙動不審に見回すと目につくのはキビキビと働く看護師さんや颯爽と通り過ぎてく女医さん。
みんな綺麗で自信あふれる感じで輝いて見える。
こんな中で和泉くんは働いてるんだなと思った。
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