王子なドクターに恋をしたら
改めて和泉くんはお父さんにもあたしと食事に行きたいと言って、お父さんは暫し黙って考えてたようだけど、「いいよ、千雪ももう大人だから」と言ってさっさと奥に引っ込んでいった。
お母さんもお父さんがいいって言うならと、うんうん頷く。

ホッとした顔をした和泉くんはじゃあ行こうかとあたしを促した。
でもあたしはトレーナーにジーンズの上にエプロン姿で、とてもじゃないけどこのままじゃ行けない。
支度してくるからちょっと待っててと言うと、「いいよそのままで、可愛いから」なんて言うから、お母さんとあたしは顔を真っ赤にしてしまった。
お待たせしないで早く行きなさい!とあたしを急かすお母さんに言われるがまま、エプロンを外し上着を着ただであたしは和泉くんと外に出た。

「ご、ごめんね。お母さん騒がしくて」

「ううん。優しそうなご両親だね。お父さんが出てきたときには緊張したけど」

クスクス笑う和泉くんが緊張してたなんて全然見えない。
落ち着いてて大人の対応をしてた。
お母さんの方がよっぽど大人げないと思う。 

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