王子なドクターに恋をしたら
「ん?」

近付く唇をあろうことかあたしは両手で塞ぎ和泉くんを止めた。
目を丸くするブルーの瞳と目が合う。

「今何しようとしてた?」

「勿論キス」

「それはダメ」

「え?なんで?」

「和泉くんの気持ちの問題が解決するまでお預けです!」

「ええ~?」

何が僕の問題だ。
あたしと和泉くんの間の事は二人で考えないといけないんじゃないの?
二人の問題を一人で決めて勝手に始めて勝手に終わらせようとする和泉くんにあたしは怒っているのだ。
だからと言って和泉くん何にも話してくれそうにないから話し合いにはならないんだろう。
喧嘩になりそうだからあたしもしつこくは聞きたくないというのが本音だけど。
だから答えが出るまで待つ。
それまではキスもその先もお預けだ。
あたしの言い分を伝えると和泉くんは渋々ながら納得してくれた。

「だけど、抱きしめるのだけは許して?もう限界」

そう言ってまたぎゅっと抱きしめてくる。
うん、あたしも限界。
やっぱりふれあえないのは寂しかった。和泉くんの温もりに包まれるとほうっと安心のため息が漏れる。
暫くそうしてると和泉くんは、あ、そうだとあたしを引き離した。温もりが消えて途端に寂しくなる。

「ねえ、デートも許してくれるよね?」

「え?」

「明日休みなんだ。だからデートしよう」

「ほんと!?」

和泉くんはずっとお仕事だったからここに来て初めて恋人らしいことが出来る。
うんと頷く和泉くんにあたしは嬉しくて抱き着いた。
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