王子なドクターに恋をしたら
相馬先生。

あの看護師さんたちが言っていた人はこの人だったんだ。
病院で見かけた時、颯爽と歩く女医さんがかっこいいと思っていたけど正にこの人で驚いた。
と、同時に納得もした。
この人と和泉くん、二人並んだらあたしが見てもお似合いだと思う。

聞きたくなくて真相は聞かずじまいだったけど、二人は本当に付き合ってたのかな?
だとしたら何故別れたのかな?
あたしたちの馴れ初めを聞きたがる伊藤先生と幸田先生を余所にあたしは和泉くんと相馬先生の事が気になった。

「ちょっと、失礼するわね」

あたしに興味あると言いながらほとんど会話に入ってこなかった相馬先生が席を外した。
その背中を見送った伊藤先生が和泉くんに耳打ちするように話した。

「なあ高槻、相馬とのこと…」

「伊藤先生、その話をここでしないでください」

キッと睨んだ和泉くんは強く遮った。
伊藤先生はあたしをちらりと見て悪い、とばつの悪い顔をする。
あたしに聞かれたくない話なんだろうな。
和泉くんを見ても笑って誤魔化されてる気がしてならない。

ちょっと気まずい空気が流れた時、和泉くんの携帯が震えた。

「もしや呼び出しか?」
「今日お前オンコールだったな」

病院からの呼び出しだろうか?緊張気味に和泉くんをみんなが注目する。

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