王子なドクターに恋をしたら
「ねえ?もう少し一緒に居たいんだけど…」
「君は、僕と似ているね」
「え?」
「自分の魅力を十分わかっていて何をしたら男が喜ぶか熟知してる。その上君は頭がいいからバカな男を弄ぶのは楽しいだろう、だけど中身は空っぽだ」
「…なに?随分失礼ね」
しなだれかかるように誘っていた彼女は気分を害したようで睨んできた。
僕は変わらず微笑を浮かべる。
「言っただろ?君は僕に似ている。だから忠告してあげるよ、優越感に浸っていても本当の愛を知らなけれはいつまで経っても虚しいままだ」
図星を突かれたようでじっと考え込む姿が自分と重なる。
「…あなたは本当の愛を知ってると言うの?」
「さあ、どうだろうね…」
本当に君は僕に似てるよ。
恋愛なんて出来るわけないとはなから決めつけ異性を弄ぶくせに実は相手に何かを求めてる。
困惑したような表情が君の素なんだろう、僕も今そんな感じだ。
知らないままで良かったかもしれないけどそれじゃあ寂しいって思ってしまったんだ。
その場で名前も聞かなかった彼女と別れ一人レジデンスに戻ればいつもの見慣れた殺風景な部屋が目に入る。
「僕の中に本当の愛ってあるのかな…」
ぽつりと吐き出した呟きはすぐに消えて無くなった。