王子なドクターに恋をしたら
ひとり悶々と悩んで長湯してしまった。
慌てて上がって髪を乾かし浴衣姿で出てくると和泉くんは椅子に座って頬杖を着いていた。
近付いても気付かなくて寝てるよう。

毎日仕事で、今日もずっと運転してて疲れたよね。
なのにあたしは色んな所に連れまわしてしまって悪いことしたな。
変なこと考えてる場合じゃなかった。

ベットに行って寝て欲しいけど起こすのは忍びない。
とりあえず部屋の隅に用意されてあったブランケットを掛けてあげようと和泉くんに近付いた。

そっとブランケットを掛けてあげたつもりだったけど、和泉くんは気付いたようでゆっくりと目を開けた。

「あ、起こしちゃった?ごめんね。疲れたでしょ?ベットに行ってね…」

最初ぼーっとしてたらしい和泉くんに話しかけてたらぐいっと抱き寄せられあたしは和泉くんの膝の上に乗り抱き締められた。

「い、和泉くん重いでしょ?離して…」

「考えてたんだ」

「え?」

「今日千雪を抱いてしまったら、きっと離れ難くなって余計に寂しい思いをしてしまう。そんなのきっとお互いに辛いはずだ。だからこのまま、何もせずに思い出だけ残して行った方がいいのか…そうも思ったけど…。でも僕は、我慢できない性格らしい」

和泉くんもあたしと同じことを考えてたんだ…。
腕が緩められ体を起こすと和泉くんに見上げられる形になる。
揺れるブルーの瞳があたしを捉え、キュンと胸が高鳴って全身が総毛立つように震えた。

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