終わらない恋を、キミと。
「それならーー、もっと幸せな疲労感をこれから少しずつじっくりと体験してみないか?」
「ーーえ?」
自転車を降りてわたしの正面に立ち、軍手を外すとその手でわたしの頬をするりと撫でた。
「っっ!」
とたんに金縛りにあったかのようにピクリとも動けなくなったわたし。
ただ、目の前の美しい人を見上げる事しか出来なくて。
「ーー結香」
わたしの名前を紡いだ唇はそのままわたしの唇と重なった。
「っっ」
わたしは怖くて強く目を瞑ると唇が離れるのを少し震えながら待つ。
「…」
程なくして唇が離れ、ホッと閉じていた目を開けると。
まだすぐ近くでわたしの顔を覗きこむ碧が極上過ぎるほど甘く微笑んだ。
「っっ」
「どうした?」
「…心臓に悪い」
「心臓弱いのか?」
今度は心配げに眉を下げるが、どうあったってイケメンはイケメン。
「そうじゃなくて…!」
「フッ、このぐらいで根を上げられたら困るな」
「え…?」
碧の言った意味がイマイチわからない。
「今日、学校行けるか?」
「……」
行きたくないのが、本音だ。
でも、受験の時助けてもらった人達の気持ちを裏切ることは出来ない。