終わらない恋を、キミと。
2 強引な訪問者

「行ってきまーす!」

「あや姉、行ってらっしゃい!」

「結香、愛してるよっ!」

「うるさい朔!はよ行けっ!」





ーーー

ーーーーーー



薮木(やぶき)家の朝はいつも早い。

ーーいや、『早くしてくれた』と言うべきか。

わたしが不眠症になってから、不眠症になった理由から、あや姉と朔はわたしに合わせて起きてきてくれるようになった。何も言わずに。

何も言わなくても解るよ。

だって、元々あや姉と朔は朝が大の苦手で、母さんが何度起こしても起きないっていつも困ってた。

わたしも朝はそんなに得意な方ではなくて、その頃は料理なんてほぼほぼしたこともなかった。

そんなわたし達三兄弟の状況が一変したのが、1年前。

両親がーー…。

「…っっ!」

ぐわっと吐き気が襲ってきて、わたしはトイレに駆け込んだ。

「ぐっ…!かはっ…はぁ」

冷や汗がボタボタと頬から顎へ伝ってトイレの床に落ちてゆく。

両親の事を思い出すといつもこうなる。
分かっていることだから無理やり思い出さないようにしているのに…。

トイレから出て、口を洗い、タオルで冷や汗を拭って居間に戻ると時刻は7時を過ぎていた。




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