お見合いは未経験
「どう?」
真奈に確認する。
「そうですね、せっかくですから。」

今日のプレートランチを注文し、貴志はカバンからタブレットを出した。
「出来るところは詰めてしまおう。」
「はい。私も、場所を早く予約しなくてはいけない、と言われました。」

「ああ、それは僕も言われたよ。人数が決まらないと場所もね。真奈のところはどうだって?」
「父は正式には人数出していないけど、150名くらいじゃないか、と。」
「うちもそれくらいかな。そうすると会場は300から400名入れるところで抑えるってことか。」

「やっぱり、ホテルとかですよね。」
「だろうな。人数も思ったより行くもんだな。」
    
「そうですね、300~400名で着席ですから。」
まあ、でも互いの親類縁者を考えると、そんなものだろう。
取引先の関係もある。

「真奈はそれでいいの?」
「やむなし、です。」
やむなし、か。やはり、家を優先に考えるよう、育ってきているのだろうと思う。

「場所を抑えたら、また改めて相談、かな。会場をいくつか確認して、来週くらいに見られるよう手配しておこうか。」
「はい…」
真奈が、うっとりとこちらを見ていた。

「どうしたの?」
「いえ。あの、テキパキされていて、すごーく素敵だなぁって。」
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