お見合いは未経験
お出迎えはとても嬉しい。
そして、疲れて帰ってきた時のお疲れさま、も。

真奈と住むようになってからは、極力、食事は家で取るようにしている。

遅くなったら、大変じゃないか?と聞いたら一緒に食べたい、と言ってくれたので。

但し、真奈も、仕事を続けたいそうなので、お手伝いさんは小笠原家から来てもらっている。

真奈は、教えてもらいながら、料理をするのが楽しいらしい。
それが、結構美味しいので外食もつい、遠のいてしまう。

しかし、真奈は『貴志さんが、忙しくなったら、絶対一緒に食べれなくなります。でも、それでいいんですよ。』と言ってくれている。

確かに、いずれそうなるのは目に見えてはいるが。
「今日はサーモンです!」
「ムニエルかな?」
「はい。ソースは手作りです。」

本当に楽しそうだ。ジャケットを受け取ってくれて、ハンガーに掛けたあと、ブラシをかけている。

貴志はその間にシャツをランドリーバッグに入れ、スラックスを掛ける。

実は貴志は誰かと一緒に住むのは、自分には無理ではないかと思っていた。

けれども、真奈と一緒に暮らし始めてからは、そうでもない、と思えるようになっていたのだ。
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