お見合いは未経験
帰ってきて、着替えるのすら、話しながらだ。
しかし、そんなことも、苦痛には思えなくて。
真奈が話を聞いてくれるのは、嬉しい。

「今日、兄のところに行ってきたよ。9月末で銀行は辞める。近いうちに人事に言うよ。」
「そうなんですね…あのっ!何かあっても、大丈夫です!私、お仕事続けますから。」

何か?

「貴志さんを食べさせるくらいは出来ます!」
え?僕を?何の宣言?

「どういうこと?」
「えっと、つまり、何かあっても…大丈夫…な。」

もう、我慢出来ない。
遠慮なく笑わせてもらう。

「あははっ、それ、いいね。可愛いな、真奈。食べさせて?」
「もうっ!変な意味じゃないです!」
「僕は変な意味で言ってる。」

仕方ない。
すぐそこがベッドだし。
エプロン姿の真奈が可愛いし。

軽くベッドに倒す。
「だめです…」
「何が?」

最近は俯くことこそ、なくなったが、真っ直ぐ見つめると、潤んだ目で見つめ返されるようになった。
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