極上御曹司と授かり溺愛婚~パパの過保護が止まりません~
「話を蒸し返すようだけど、婚約者さんから連絡は来たの?」

「あ! うん。メールは一度ね。寝る暇もないくらい忙しいって、同行した秘書とがんばっているって」

 男性秘書の大久保さんとは面識もあり、彼より五歳年上でいつも支えてくれていると聞いていた。

「秘書っ!? じょ、女性と一緒なの?」

 あやは目を丸くする。

「違う、違う。秘書だって、男性もいるのよ?」

「なんだ。びっくりした。もしも女性秘書と一緒だったら、美月のいない寂しさからふらっと……」

「そんな余計なこと考える必要ないからっ」

 あやの突拍子もない言葉に、学生時代はラガーマンだったがっちりした体格の大久保さんを思い浮かべながら、私はプッと噴き出した。


 渋谷の街でぶらりとショップを(のぞ)き、外気で体が冷えてくるとコーヒーショップに入って温かい飲み物を飲み、いろいろな話に花を咲かせる。

 十一月に入ってだいぶ寒くなり、ブラウンのロングカーディガンは厚手だがベージュのマフラーをぐるぐるに巻いている。

 渋谷から表参道方面へ歩く。神宮外苑(じんぐうがいえん)のいちょう並木の通りでは、いちょうの葉がほんのり黄色に色づき始めている。

 暗くなるのも早くなったなと歩きながら思う。そろそろ十八時だ。

 私たちはコーヒーショップでお茶をしているときに検索した、赤坂(あかさか)にあるローストビーフのお店を目指した。
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