【改訂版】CEOは溺愛妻を杜に隠してる
「……隠岐さんは、この娘を気にいったということでしょうか」

 顔色を悪くしていた伯父様は、状況を把握すると表情を改めた。 

「そんなことは」
「そうだ」

 私と隠岐さんの声が被った。

「ひかるが乗り気ではないようなので、お断りする」

 オーラ半端ない隠岐さんに向かって、ノーと言える伯父様、偉いっ。
 
「多賀見家から今回のことを申し入れてきた筈だが?」

 隠岐さんの声が冷たくて、怖い。

「こちらの条件は過日に送信したメールで申し上げた」

「伯父様」

 条件てなに?
 説明してよ、という視線を送ったら、悪いようにはしないから、というように微笑みかけられた。
 違うから!
< 29 / 125 >

この作品をシェア

pagetop