罪か、それとも愛か
「私の人生は、ママへの贖罪と『一条』の為の人生。
冬輝をこんな私の生き方に巻き込みたくなかった。だから大人ぶって無理して一人で我慢してきたのに」

冬輝に抱きしめられているだけで、何もかもがどうでも良くなってしまう。

「そんなに優しいこと言われたら甘えたくなる。
本当は寂しくて、ひどく疲れていて、心の奥まで冷たくなってしまってる。
冬輝の温もりを分けてくれる?私の頑張りを褒めて、癒して。
もう、何も考えられなくなるくらいに。
抱いて」

琴羽は背伸びをして柔らかな冬輝の唇にキスをした。
唇から伝わる冬輝の温もりはとめどない安堵をもたらす。琴羽の背負う重苦しいものの存在を刹那忘れさせてくれる。
やはり媚薬だ。

「俺に対しては罪悪感とか要らない。愛だとか、罪だとか。そんな型にはめるような感情じゃない。
それに何も返せないと言うけれど、そんなことはない。
琴羽が気を許せる存在だと自負できる。それが俺の原動力になる。
だから、安心してワガママ言ってろ。
それに、叶えたい夢は同じだろ?マコさんの夢の病院。2人で一緒に叶えていこう」

「……もう。
冬輝には敵わない。怖いくらい私のこと、何でもお見通し」

琴羽は小さく笑った。そんな琴羽を冬輝は軽々と抱き上げた。

「生まれた時からそばにいるからな。
琴羽の世界には俺がいることを覚えていて。どれほど傷ついても、どれほど無理をしても、休める場所があると。
他の誰にも代われない、俺たちだけの関係だから」

ーー冬輝がいれば、どこまでも強くなれる。

冬輝の温もりが、優しさが、琴羽を包んだ。

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