罪か、それとも愛か
「ね、琴羽ちゃん。
久坂議員が開催する新年祝賀パーティなんだけど、私、仕事があって出席できないの。
花音のお守りしてもらえない?何か予定ある?」

いぶきから政治家が開催するパーティの参加依頼を受けた。

「予定はないけど…新年早々荷が重いな。花音が大人しくしてくれればいいけど」
「花音には、ニコニコ笑って挨拶だけするようにいい聞かせるわ。マリアも拓人の護衛で一緒だから、安心して」

護身術の師匠でもある黒川の妻、マリアが一緒なら安全面では心強い。

花音は一条家の一人娘であり正統な後嗣である。それゆえに花音を取り入ろうとする者は多い。小学生ならば簡単に取り込めると思うのだろう。
だが花音は、小学生とは思えないほど頭が切れる。見た目は麗しく愛らしいお人形のようだが、中身は世の中を達観している大人だ。

「わかった。
腹黒いタヌキ親父たちから花音を守りつつ、愛想振りまけばいい?
と、いうより、タヌキ親父たちを花音から守る感じ?」

招待客は腹に一物も二物も抱えているような百戦錬磨の重鎮が揃う。小学生に論破されたら、彼らの体面が保たれない。

「えぇ。余計なトラブルは避けたいの。花音もわかってるはずなんだけど、あの子、売られたケンカは買いそうで」

いぶきの目が琴羽を射抜く。
琴羽が畏敬の念を抱くいぶきの強い眼力は、人を惹きつけてやまない。娘の花音にも遺伝したその強い眼力の前では、思わず平伏せずにいられなくなる。

「了解。パーティなんて久しぶり。ドレス、用意しなくちゃ」
「ジュンさんに連絡しておくわ。よろしくね、琴羽ちゃん」
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