罪か、それとも愛か


その頃水上家。冬輝は二階の自室で勉強していた。

「冬輝、ご飯よ」

母に呼ばれて階下へと降りると、つけっぱなしのテレビに見覚えのあるホテルがうつしだされていた。

ホテルは警察に封鎖され、報道陣がその周りを囲んでいる。

『現場では、緊迫した状況が続いております。
ホテルの宿泊客はすでに避難を終えていますが、まだ会場内には久坂大臣をはじめとしたパーティ参加者が人質として残っております。
立てこもりの犯人の身元は分かっておりません』

犯人から直接マスコミに犯行予告があったとか、予告通り、ホテル中庭の池で爆発と見られる水柱が上がったといったニュースが速報として流れていた。

「嫌だわ、物騒ね」
「……ここに琴羽がいる」
「えっ?」
「今日は久坂議員の新年のパーティだって、俺がこのホテルに送ったんだ」
「人質の中に、琴羽ちゃんがいるってこと?」
「たぶん」

テレビを見つめる冬輝の顔色は、ひどく青ざめている。柊子も食事どころじゃなく、テレビに釘付けだ。


ーー琴羽。
琴羽、無事だよな?お前は強いもんな。


現場の緊迫した様子がテレビの画面ごしにもわかる。


「どうしよう…翔太先生も琴羽ちゃんと一緒?」
「いや、琴羽は一条理事長と一緒なんだ。ショウさんは別のホテルで医師会の集まり」
「そう。じゃあ、とりあえず翔太先生と連絡とりましょう」

柊子がスマホを手にしたその時だった。


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