罪か、それとも愛か
「今日は拓人と夕飯の約束してたから、ついでに花音も一緒に食べてきた。
これからうちでゆっくり飲もうと思って」
「じゃ、お酒買いに行かなくちゃ。切らしてるでしょ」
「大丈夫。冬輝に買いに行かせてる」

かわいそうに、冬輝は使い走りにされているようだ。

「ちょうどよかった。みんなに相談がある」

拓人と花音が同席しているなんて好都合だ。
琴羽は淡々と事実を述べた。

「私、プロポーズされた」

こともなげに言った琴羽とは対照的に、花音はうれしそうに頬を赤く染める。

「そうなの?冬輝くんてばいつの間に」
「冬輝じゃない」
「冬輝くんじゃ、ない?」

花音の表情が一気に曇る。

「じゃあ誰だ。仕事一筋だと思ってたが、いずれ冬輝くんとくっつくって…いまさらほかの男?どんな男?」

拓人は驚きから目を見開き、体を前のめりにして訊ねてきた。

「大学の同級生。五嶋商事の社長の息子、五嶋零次くん。久しぶりに会ったの」
「爆弾事件の時に現場にいて腰を抜かしていた男だな。それで琴羽の返事は?」

翔太は、情けない姿の五嶋のことを覚えているらしい。

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