罪か、それとも愛か


自宅の窓に明かりが見えた。父が帰っているようだ。
玄関を開けると複数の笑い声がした。

「あ、お帰り、琴羽」

リビングには父と拓人と花音がいた。珍しい組み合わせに琴羽は目を丸くする。

「ただいま。たっくんと花音がいるなんて、珍しいね。
え、花音どうしたのその手!」

琴羽はすぐに花音の左手の包帯に気づいた。

「ちょっと体育の時間に……」

手を隠しながら濁らす花音に代わって、翔太が答えた。

「バスケットボールで突き指したんだ。
でも、学校では恥ずかしいから隠してたみたいでさ。夕方になって腫れあがった指を見て大河が血相変えて俺のとこに連れて来た。大したことないよ」

翔太が大したことないと診断したのなら安心だ。
琴羽はホッとしながらも、花音に小言をいった。

「だめじゃない、すぐに保健室いかなきゃ。突き指だなんて、大河は何してたのよ」
「ボール取り損ねて突き指なんてみっともないじゃない。
さすがの大河も、女子の体育の授業中にはどうにもならないわよ」
「体育の授業中か。確かにそれは無理ね。そういう時こそ、気を付けてよ」

学校では幼なじみの久我大河(くがたいが)が花音の身の回りの警護をしている。大河は琴羽同様、黒川に護身術を教わっておりその腕前はお墨付きだ。
大河も花音の為なら命をかけて守るくらいの覚悟があり、安心して任せておける。だがどうしても目の行き届かない瞬間はある。

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