罪か、それとも愛か
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琴羽は声をかけるタイミングを待つしかなかった。
鼻にかかった甘ったるい声の愛紗とは対照的に、冬輝の声はいつもと変わらず淡々としている。
愛紗を拒絶しているわけではないと思うが、カノジョに対して少々冷たい感じがした。
「そっか。そうだよね。水上くんが忙しいことわかってるのに、ごめんね。妹の夏姫ちゃんならともかく、琴羽ちゃんのワガママにまで応えてあげるからちょっと妬けちゃった。私もワガママ言ってみたくなっちゃったの。
だって、私、本当に水上くんのこと大好きだから」
目が、合った。
冬輝にぎゅっと体を寄せて歩き出した愛紗が、ちらりと振り返ったのだ。
彼女の目は街路樹の陰に隠れていた琴羽の姿を確実にとらえていた。
間違いない。すぐ近くに琴羽がいることに気づいている。
今のキスも、甘えるような会話も、二人の近すぎる距離感も、琴羽に見せつける為のものだ。