ひとりぼっちの王子
「だってこうするしかないじゃん!
姫が、俺から離れようとするから。
大丈夫だよ!俺が幸せにするから!
姫はただ、俺に愛されてればいいだけ!」

え………利玖、何を言ってるの?

私は、これから起こるであろう想像できない恐怖に、身体を震わせていた。

「あれ?姫震えてるね………寒い?
おかしいなぁ?
ベビードール一枚だからって、空調は万全なはずなのに」
心配そうに、私の頭を撫でる利玖。

この人は誰?本当に利玖なの?
私の知ってる利玖とは別人に見えて、怖くて更に身体が震える。

「ねぇ、利玖」
「ん?なぁに?」

「ここから出して。
大丈夫!今すぐに利玖と結婚するから!」

ほんとは今の利玖とは結婚したくなかったが、そうまで言わないと本当に一生このままな気がして、この状態から切り抜ける為、懇願する。

「うーん。結婚はもういいや!
空羅の言うとおり、結婚って形をとらなくても、一生一緒にいられるし。
もう一度言っておくけど、もう姫は外に出られないよ!」

「う、嘘……こんな…」

「姫は本当に綺麗だね/////
涙を溜めたその目。
震えてる身体。
真っ白な肌も……!」
うっとりとして、私の頬に触れる。

ひっぱたいてやりたいのに身体が固まったように動かず、そのままゆっくりベッドに寝かされ、組み敷かれた。

利玖の整った綺麗な顔が近づく。

「んんっ……
んんんんっ……」

く、苦しい………
苦しくて、利玖の身体をバンバン叩く。
「はぁはぁ…
苦し…いよ、利玖」

「フフ…可愛い////姫」
私を見下ろし、嬉しそうに、愛しそうに言う利玖。


「本当はこのまま姫を抱きたいけど、もう遅いし今日はもう寝ようね。
でも明日は覚悟しててね。
朝からいっぱい愛してあげるから………!」

「や…嫌…」




「二人で幸せになろうね!姫!」

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