今夜はずっと、離してあげない。
手に提げられたエコバックを見るに、買い物の帰りらしい。
「なんか悩みでもあんの?」
「や……そーゆーわけでは……」
悩みというほどのものではないけど、今実際に悩みの種である本人が立っている。
……まあ、フツーに。至ってなんでもない風を装って誘えばいい。うん。
「千住サマ、あの、」
「……?」
言い出そうとするも、きょとんとした千住サマの顔を見ていると、だぶるでーとに参加してくださいなんて言えなくなる。
だって、あまりにも図々しすぎる気がするし。
休日の時間をわざわざ私と出かけるために使わせるなんて、普段からコキ使ってるようなものなのに負担が割増になってしまう。
「……やっぱり、なんでもないです」
一緒に行ってほしいなんてこと、言えるわけがなかった。