今夜はずっと、離してあげない。
*
ぱちんと手を合わせて、本日も一礼。
「ごちそうさまでした」
「おそまつさま」
素麺って、誰でも普通の人並みの味を出せると思っていたけど、千住サマが調理するとなぜか人一倍美味しく感じてしまう。
どんな方法で調理しているんだろう。
どこかの子供番組じゃあるまいし、美味しくな〜れって念を送ってるわけでもないだろうし。
食器をかちゃかちゃと片づけていると、すでに食べ終わっていた千住サマが待ったをかけてきた。
「氷高は公園に行ってろ」
「……え、公園?」
唐突な指令に、戸惑うのも無理はないと思う。
公園って、あの家からすぐ近くの公園、だよね?千住サマを拾った。
そこで今日、こんな夜に何かあったっけ?
まさか今から草むしりとかするわけないし……。