今夜はずっと、離してあげない。



訳もわからないまま家から追いやられ、仕方がないので言われた通りに公園にやってきた。


といっても、もちろん何もすることがないので、ぽかんとしてる他ない。



今は真夏。

寒いということはないけど、ひとりでぽつんと立っているのは、割とさびしい。



いつの日か千住サマが寝転んでいたベンチに座って、ボーッと空を見上げた。

あんまり明かりがないからか、星が結構見える。


夏の大三角見えるかなーと探していたら、パタパタと足音がして。




「わるい。待たせた」




千住サマのご登場。

夜風に煽られて、右手に提げているレジ袋がカサカサ揺れていた。




「別に大丈夫ですけど……こんな夜にどうしたんですか?」




いつもの彼なら、今頃風呂入れとか言ってるのに。


首を傾げていれば、がさごそとレジ袋を漁り始めて。




「これ、しよーぜ」




そう言って取り出したのは、たくさんの手持ち花火だった。



< 120 / 415 >

この作品をシェア

pagetop