今夜はずっと、離してあげない。
訳もわからないまま家から追いやられ、仕方がないので言われた通りに公園にやってきた。
といっても、もちろん何もすることがないので、ぽかんとしてる他ない。
今は真夏。
寒いということはないけど、ひとりでぽつんと立っているのは、割とさびしい。
いつの日か千住サマが寝転んでいたベンチに座って、ボーッと空を見上げた。
あんまり明かりがないからか、星が結構見える。
夏の大三角見えるかなーと探していたら、パタパタと足音がして。
「わるい。待たせた」
千住サマのご登場。
夜風に煽られて、右手に提げているレジ袋がカサカサ揺れていた。
「別に大丈夫ですけど……こんな夜にどうしたんですか?」
いつもの彼なら、今頃風呂入れとか言ってるのに。
首を傾げていれば、がさごそとレジ袋を漁り始めて。
「これ、しよーぜ」
そう言って取り出したのは、たくさんの手持ち花火だった。