今夜はずっと、離してあげない。
やっぱり、最後は定番の線香花火だった。
どっちが長く灯せていられるかの勝負。
「私、これ得意ですよ」
「へえ。コツとかあんの?」
「実はですね、この先端のすこし膨らんだ部分の上のくびれた部分を捻って─────って、教えたらハンデなしじゃないですか!」
うまく口車に乗せられた私は、あっけなく自分の知っているコツを教えてしまった。
口からぽろっと滑った。
くっ。こうなることがわかっててわざと聞いてきたな、千住サマ!!
恨みがこもった視線をびしばし受けているのに、素知らぬフリをして私から聞き出したことを実践しているんだから、ほんとにタチが悪い。
「よし。これで対等」
「どこがですか?!千住サマの方が才能ありそうだから私が負けそうなんですけど!」
「線香花火の才能ってなんだよ」