今夜はずっと、離してあげない。
*
「ただいまです」
玄関のドアを開けると、いつも通りリビングから千住サマが顔を覗かせる……ことはなく。
あれ?電気ついてたから、いると思ったんだけどな。消し忘れ?
珍しいなと思いながらリビングに通じるドアを開けた、ら。
「……え、っと、あの、千住、サマ??」
なぜか、仁王立ちの千住サマが、デンッと待ち構えていた。
「まず、帰りが遅い」
「あ、す、すみません。連絡し忘れてて」
これは嘘。
事実は連絡できなかった、と言う方が正しい。
遊園地の帰りにみんなで食べて帰ろうってなった時点で、連絡しようとしてた。
けど、それを千井が阻止してきたのだ。
スマホを奪って。
必死で取り返そうとしたけど、解散するまで、もっと言うならこのアパートの前まで送ってくれた時に返された。
もちろん、去り際に千井を一発ぽこりと殴った。