今夜はずっと、離してあげない。
ひゅうっと、一気に体感温度が下がった。
珍しくポカンと間抜けヅラを披露している千住サマは、どうやらこの現実を受け入れられないご様子。
固まったまま動かない。一ミリも。
ただただ、私に千井が抱きついている場面を飽きることなく凝視している。
そして、事の発端である千井はというと、やっべ、みたいな顔をしたまま、抱きつきは続行。いやサッサと離れて今すぐ早く!!!
引っ剥がそうにも、私の両手は真っ赤だからさすがに憚られる。
だって、白のワイシャツについたらなかなか落ちなさそうだから。
千井のお母様にも申し訳がたたない。
というか、普通にホラー感半端ない。
ワイシャツに血みたいな色のペンキって、ある種ド派手な怪我してるみたいに見えてしまうし。