今夜はずっと、離してあげない。




「あの、千井、ほんと、はなれて、」

「やだむりちずがこわすぎるから盾になって!!!」

「やっぱり引っぺがそうかな?」





自身の保身のためだったとは。

これは引っ剥がしても何も問題はない気がする。赤い手形がつくのは仕方ないよね。うん。



そう思いながら、むんずと千井の襟首を掴もうと手を伸ばした時だった。





「……千井、」

「ふぎゃっっ!!!!」




我に返った千住サマが私の肩に手を置いたかと思うと、千井の襟首を引っ掴み、そのままべりっと引っ剥がしてくれた。

千井が変な声出してたのは気になるけど。



そして、千住サマの顔がすごく見にくい。
いや、見にくいというよりも、見たくない。



だって、千住サマ、おかあさんだから……。
それも口うるさい系の。

絶対なんか言ってくる。
不用意に抱きつくなって言ってきそう。

私、抱きつかれた側なのに……。



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