今夜はずっと、離してあげない。



さっきよりも引き攣った笑顔。

まるで私にこんなところを見られたくなかったと言わんばかりの。




「凛琉、はやく行こう?ちょっと足痛くなってきたかも」

「えっ、ほんと?!」




ごめん。うそ。

凛琉に少しでもここにいてほしくなくて、嘘ついた。ごめん。


歩き出そうと右足を出したところで、ザッと私の前に立ちはだかるツインテールの女の子。にこにこ笑顔がこわい。


そして、近づいてきたのをいいことに、コソッと耳打ちをしてくる始末。




「あの、ちょっといいですか?葉柴サンのお友達なら知っておいた方がいいかと思って」

「はい?」




何を?という言葉は。




「葉柴サン、こー見えて、すーっごくきもちわるいんですよ?」




くすくす、と嗤う言葉にかき消された。



< 171 / 415 >

この作品をシェア

pagetop