今夜はずっと、離してあげない。
さっきよりも引き攣った笑顔。
まるで私にこんなところを見られたくなかったと言わんばかりの。
「凛琉、はやく行こう?ちょっと足痛くなってきたかも」
「えっ、ほんと?!」
ごめん。うそ。
凛琉に少しでもここにいてほしくなくて、嘘ついた。ごめん。
歩き出そうと右足を出したところで、ザッと私の前に立ちはだかるツインテールの女の子。にこにこ笑顔がこわい。
そして、近づいてきたのをいいことに、コソッと耳打ちをしてくる始末。
「あの、ちょっといいですか?葉柴サンのお友達なら知っておいた方がいいかと思って」
「はい?」
何を?という言葉は。
「葉柴サン、こー見えて、すーっごくきもちわるいんですよ?」
くすくす、と嗤う言葉にかき消された。