今夜はずっと、離してあげない。
くだらない。
とてつもなく、くだらない話。
「あ、あなたも知ってるでしょ?葉柴サンがテレビの向こうの人にご執心なこと。行きすぎてきもちわるいって──────」
「特に思わないですね」
今度は、私がツインテ女子の声を遮った。
「凛琉がそのナルくん?の話をしてる時が、いちばん可愛いのは知ってますけど」
なんでこんな、決まりきった話をしなければならないのか。
ほんと、くだらない。
「あなた方の腐った目で見た結果そうだったのだとしても、私が見たところ、凛琉に気持ち悪いところなんてないです」
いつも笑顔で、かわいくて、純粋で、ナルくんの話をしてる時は一段ときらきらしてて。
……私の憧れを、ぜんぶ持った、女の子。
私の推しが誰かって聞かれたら、葉柴凛琉だって答える。いま、わかった。
「というか、今の凛琉も昔の凛琉もロクに見てない人が、どうこう言う資格も権利もないと思うんですけど」
「なっ……!」
挑発するように言うと、顔を真っ赤に染めたツインテ女子がバッと片手を振り上げた。
あ、もしかして、これ、ぶたれ──────
思った、直後。
パシッ、と乾いた音が響いて、振り下ろされようとした手が、止まった。
……否。
「……お前、何しようとしてんの?」
それよりも大きな手に、掴まれていた。