今夜はずっと、離してあげない。
私の言葉にぴしりと固まった凛琉は、いつかの千井のように顔を手で隠してしまう。
「真生に騙されたあああ!!」
「いや別に、騙してはないんだけどな……」
ただちょっと、誘導尋問的に聞いただけで。
「なんで真生にはバレるの?!」
「だって、今日の朝からずっとうきうきしてたし……」
「それはっ、その……」
言葉を詰まらせる凛琉に、ちょっとだけ気落ちしながら呟く。
「凛琉と一緒に回れると思ってたのに……」
「ゔ、」
割と本気で落ち込めば、隣からなんとも言えない喉が潰れたような声がした。
「最初の文化祭、凛琉と回りたかったなって……。あと、朝水くんに凛琉とられるの、なんか癪」
「あれ。後半の方がなんか気持ちこもってなかった?」