今夜はずっと、離してあげない。




私の言葉にぴしりと固まった凛琉は、いつかの千井のように顔を手で隠してしまう。




「真生に騙されたあああ!!」

「いや別に、騙してはないんだけどな……」




ただちょっと、誘導尋問的に聞いただけで。




「なんで真生にはバレるの?!」

「だって、今日の朝からずっとうきうきしてたし……」

「それはっ、その……」




言葉を詰まらせる凛琉に、ちょっとだけ気落ちしながら呟く。




「凛琉と一緒に回れると思ってたのに……」

「ゔ、」




割と本気で落ち込めば、隣からなんとも言えない喉が潰れたような声がした。




「最初の文化祭、凛琉と回りたかったなって……。あと、朝水くんに凛琉とられるの、なんか癪」

「あれ。後半の方がなんか気持ちこもってなかった?」



< 182 / 415 >

この作品をシェア

pagetop