御曹司、家政婦を溺愛する。

「新堂くん、聞きたいことがあるんだけど」
「なに?」
と、新堂隼人は私の結い上げた髪をスッと撫でる。
それだけで、ドキッとする。

「いくつか知りたいことが」
と、二人きりの今のうちに聞いておこうと思った。彼は頷いて「じゃあ、一つ目は?」と少し興味があるように聞いてきた。
「大河内さんは、大丈夫なの?」
この質問に、新堂隼人は渋い顔をしながらも「ああ」と、頷く。
「ああ。大河内親子共々、前から腹黒い人間関係があったからな、関口にも協力してもらって調べた。許嫁を解消して婚約も白紙にした。ついでに俺が社長になった直後に会社のメインバンクを関口の親父が頭取の銀行に乗り換えた。もう大河内親子と関係がなくなった」

「二つ目、いい?」
「どうぞ」
「スペインからの花束は?」
「俺。スイートベル、可愛い鈴」
と、新堂隼人は「誕生日プレゼントだ」と教えてくれる。
「……」
「わからなかったか?お前の住所がわからないから、会社に送った」
「みんなで悩んでたよ。ちゃんと名前で送ってください」
「……ガラじゃないから無理」
「もう」

新堂隼人からのバラなら、大歓迎だ。

「最後に……」
「……借金か」

やっぱり。
新堂リゾートの御曹司だ。少し調べれば佐藤製菓の借金なんてすぐにわかってしまうだろう。

「俺、海外にいたから俺の口座のことや振込のことをベリーヒルズビレッジのオーナーである東和泉さんに協力をお願いしたんだ。俺と鈴のこと、あと美織のことを話したら承諾してくれた。振り込んだ数日後に、俺から鈴の両親に連絡したんだ」

『世間ではいろいろ言われていますが、私は鈴さんを妻として迎え入れたいです。彼女を決して泣かせないと約束します。必ず幸せにします。その証として、残りの負債額を鈴さんの結納金としてお納めください』

「……」
三千万の結納金は、庶民としてはとんでもない額だ。
「多すぎる」という言葉を飲み込んで「そうだったんですか」と頷いた。

もうすぐヘリポートに着陸する。
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