あやかしあやなし
「昔は物の怪など穢らわしいものとばから思っておった。人ならざる、というだけで滅すべきものと決めつけておったが、三年山に籠もり烏天狗と修行して、まるで考えが変わってしまった。おぬしらには、ほんに迷惑をかけたな。すまなかった」
ぺこりと頭を下げる。
「おいらたちというよりも、行き来してる奴らとかだけど……」
素直に謝られ、ちょっとむず痒く思いながら、小丸がもぞもぞ言う。
「俺たちも都での行商に差し障りが出たが、まぁよかろう。最近の術の解除は、おぬしがやったということか」
ふと思い付いて惟道が問う。
「ああ。鞍馬のお山からは、都がよぅ見渡せる。修行のお陰で掛かっている術もある程度は見えるようになった。まずは心当たりのある術から消していっている。もう大分消せたと思うが」
「そうか。なら皆安心だ」
「そもそも我らは都で罠を仕掛けておったのだから、都の外まで影響があるとは思えぬが、もし何かあったら教えてくれ。私は海尊という」
そう言って、男ーー海尊は軽々と鬼っ子を担ぎ上げた。
「あ、あの。その状態で鞍馬まで帰るのですか? 大丈夫ですか?」
章親が腰を浮かしつつ尋ねる。もっとも山登りなので、そもそも牛車などは使えないが。
ちらりと僧正坊が鬼っ子を覗き込み、ふわりと着ていた僧衣を掛ける。
「これでこの者に、さほど影響はあるまいよ。あとはまず目を覚ますことを祈るばかり。その後、どう出るかはまたその時のことじゃ」
では、と一礼し、海尊は僧正坊と共に安倍屋敷を出て行った。
ぺこりと頭を下げる。
「おいらたちというよりも、行き来してる奴らとかだけど……」
素直に謝られ、ちょっとむず痒く思いながら、小丸がもぞもぞ言う。
「俺たちも都での行商に差し障りが出たが、まぁよかろう。最近の術の解除は、おぬしがやったということか」
ふと思い付いて惟道が問う。
「ああ。鞍馬のお山からは、都がよぅ見渡せる。修行のお陰で掛かっている術もある程度は見えるようになった。まずは心当たりのある術から消していっている。もう大分消せたと思うが」
「そうか。なら皆安心だ」
「そもそも我らは都で罠を仕掛けておったのだから、都の外まで影響があるとは思えぬが、もし何かあったら教えてくれ。私は海尊という」
そう言って、男ーー海尊は軽々と鬼っ子を担ぎ上げた。
「あ、あの。その状態で鞍馬まで帰るのですか? 大丈夫ですか?」
章親が腰を浮かしつつ尋ねる。もっとも山登りなので、そもそも牛車などは使えないが。
ちらりと僧正坊が鬼っ子を覗き込み、ふわりと着ていた僧衣を掛ける。
「これでこの者に、さほど影響はあるまいよ。あとはまず目を覚ますことを祈るばかり。その後、どう出るかはまたその時のことじゃ」
では、と一礼し、海尊は僧正坊と共に安倍屋敷を出て行った。