あやかしあやなし
「惟道は大丈夫でしょうか。その、重傷の雛とはいえ、強い妖力の烏天狗を入れた上に、僧正坊様のような大天狗まで降ろして……。惟道は陰陽の術を習ったわけでもない、単なる人間です。惟道が稀有なる器だってことは承知しておりますが、このようなことは、少なくとも僕の知る中では初めてなので」
章親の言葉に、僧正坊は何かを探るように、少し目を閉じた。
『……心配ない。少なくともわしから見るこの者の内側は何ともない。わしの気で、烏鷺が少し回復しつつあるので多少の負担はあるやもしれぬが……。念のため、わしが出た後、少し様子を見ておけばよかろう』
そう言って、柔らかく微笑む。おお、惟道が微笑んだ、と感動する間もなく、その表情はあっという間に掻き消え、能面になった。
「……あ~あ、残念」
小丸が心底残念そうに、肩を落とす。章親はしばらく惟道を見、そろそろと顔の前に手を翳した。
「惟道、どう?」
「何ともない」
能面で、淡々と答える。ああ、惟道だ、と思った瞬間、章親は思わず笑い声を上げた。小丸がちょっと驚いて章親を見る。
「どうしたのさ、急に笑い出して」
「だって、やっぱり惟道はこうでないとって思ったら安心して。さっきまでの惟道も、まぁ面白かったけど、やっぱりいきなりああも変わられると気持ち悪いよ」
あはははは、と笑う章親を、小丸は訝しそうに見た。
「え~? だってあんな表情豊かな惟道、貴重じゃない」
「貴重だけど、うん、惟道は少しずつ、表情を覚えていってくれればいいんだよ」
章親の言葉に、僧正坊は何かを探るように、少し目を閉じた。
『……心配ない。少なくともわしから見るこの者の内側は何ともない。わしの気で、烏鷺が少し回復しつつあるので多少の負担はあるやもしれぬが……。念のため、わしが出た後、少し様子を見ておけばよかろう』
そう言って、柔らかく微笑む。おお、惟道が微笑んだ、と感動する間もなく、その表情はあっという間に掻き消え、能面になった。
「……あ~あ、残念」
小丸が心底残念そうに、肩を落とす。章親はしばらく惟道を見、そろそろと顔の前に手を翳した。
「惟道、どう?」
「何ともない」
能面で、淡々と答える。ああ、惟道だ、と思った瞬間、章親は思わず笑い声を上げた。小丸がちょっと驚いて章親を見る。
「どうしたのさ、急に笑い出して」
「だって、やっぱり惟道はこうでないとって思ったら安心して。さっきまでの惟道も、まぁ面白かったけど、やっぱりいきなりああも変わられると気持ち悪いよ」
あはははは、と笑う章親を、小丸は訝しそうに見た。
「え~? だってあんな表情豊かな惟道、貴重じゃない」
「貴重だけど、うん、惟道は少しずつ、表情を覚えていってくれればいいんだよ」