あやかしあやなし
次の日の朝、鬼っ子は良い匂いに目を覚ました。さして広いわけでもないこの寺は、いつも皆が集う正面の座敷とその奥の小さな二つの書院しかない。内一つは和尚の部屋。なので昨夜はもう一つの部屋で惟道と寝た。といってもその他大勢いたのだが。
鬼っ子がむくりと上体を起こすと、上に乗っかっていた小さな物の怪が、ころりと転がり落ちる。小さな部屋の中は、足の踏み場もないほど、そこここに物の怪が転がって寝ている。
その光景に、鬼っ子はちょっと呆れた。こんなに物の怪が溢れている日常で暮らす惟道は、一体何者なのか。
『起きたのかえ』
不意に声がし、鬼っ子はそちらを見た。物の怪の海から頭一つ出して、丸顔の女が鬼っ子を見ている。
『新参者の顔を拝みに来たら、何だい、この有り様は。皆お前を見に来たのかい?』
周りに転がる物の怪を鬱陶しそうに見やり、女はぶつぶつ言っている。いつもいつもこの状態ではないということか。
そんなことを考えていると、がらりと襖が開いて、小丸が顔を出した。
「あ、周防のねーさん」
『小丸、何だい、こいつらは』
周防と呼ばれた女が立ち上がると、これまた傍にいた小さな物の怪が転がる。
「皆警戒してさ。惟道から離れようとしないんだもの。夜の間にまた増えちゃって、まー寝苦しかったこと」
肩を竦めて小丸が言う。この物の怪たちは、鬼っ子から惟道を守るために、この部屋に詰めたらしい。……物の怪には限度というものがないのか。
鬼っ子がむくりと上体を起こすと、上に乗っかっていた小さな物の怪が、ころりと転がり落ちる。小さな部屋の中は、足の踏み場もないほど、そこここに物の怪が転がって寝ている。
その光景に、鬼っ子はちょっと呆れた。こんなに物の怪が溢れている日常で暮らす惟道は、一体何者なのか。
『起きたのかえ』
不意に声がし、鬼っ子はそちらを見た。物の怪の海から頭一つ出して、丸顔の女が鬼っ子を見ている。
『新参者の顔を拝みに来たら、何だい、この有り様は。皆お前を見に来たのかい?』
周りに転がる物の怪を鬱陶しそうに見やり、女はぶつぶつ言っている。いつもいつもこの状態ではないということか。
そんなことを考えていると、がらりと襖が開いて、小丸が顔を出した。
「あ、周防のねーさん」
『小丸、何だい、こいつらは』
周防と呼ばれた女が立ち上がると、これまた傍にいた小さな物の怪が転がる。
「皆警戒してさ。惟道から離れようとしないんだもの。夜の間にまた増えちゃって、まー寝苦しかったこと」
肩を竦めて小丸が言う。この物の怪たちは、鬼っ子から惟道を守るために、この部屋に詰めたらしい。……物の怪には限度というものがないのか。