あやかしあやなし
「全く、集ったのはいいが、皆眠りこけてりゃ世話ないやね。これでどの面下げて守るつもりなんだか」

 足元の物の怪を踏まないように気を付けながら、周防は部屋の奥からようやく小丸の傍に到着した。小丸が、ちらりと鬼っ子を見る。

「お前、腹は普通に減るのか?」

「あ……」

 声を出した途端、鬼っ子の腹が、くるる、と鳴いた。

「そんじゃこっちに来い。朝餉にしよう」

 それだけ言って戻ってしまう。鬼っ子はとりあえず、先の周防と同じように、他の物の怪に注意しながら部屋を出た。

「おや、おはよう。よく眠れたかの?」

 昨日の座敷に入ると、和尚がにこにこと声をかける。こくんと頷き、鬼っ子はきょろ、と匂いの元を探した。厨に、こちらに背を向けて立っている惟道の姿がある。
 やがて小丸と共に、惟道が盆に椀を載せて入ってきた。

「あ~あ、折角京に行ったのにさ、お土産買う暇もなかったよ」

 ぶつぶつ言いながら、小丸が和尚の前の膳に椀を置く。美味そうな芋粥が、ほかほかと湯気を立てている。

「章親が漬物を持たせてくれたではないか。そもそも金もそう持ってなかったんだし、土産など買えぬ」

 惟道が、鬼っ子に直接椀を手渡した。椀はあと二つ。惟道と、小丸の分。

「あの、他の皆の分は?」

 鬼っ子が言うと、惟道は自分の膳に椀を置きながら、ああ、と小さく呟いた。

「他の物の怪たちは、特に腹が減るということがないようだ。食うものが違うだけかもしれぬが」
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