もういちど初めからー塩キャラメルとビターチョコー
16.もういちど初めから
16.もういちど初めから

涼子(りょうこ)――…」
 なんだろう。
 なんだろう、この、ばからしいくらい腹立たしくて、ほっとした…気持ち。
 気をまわして。
 気づかっていたつもりが実は、みんなひとり相撲(ずもう)
(はは……)
 笑える。
 笑える…じゃん!
 自分の気持ちさえわからないでいたのに、ひとの気持ちがわかってるみたいな気になって……。
 あげくに、なに?
 わかってたっていうの?
 涼子には、わかってたって?
 あたしが、アイツを許すのが、わかってたって?

 涼子の細い指が、ぎゅっと白いカーディガンの胸元をつかんだ。
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