惚れたら最後。
「相川実莉はノコノコ極山会の残党についていって監禁されて、3人子ども産まされた挙句癌で亡くなったらしい。ざまあみろだな」

「……そうか、死んでるならどうでもいい」



カタギなら目を覆いたくなるような惨状、ヤクザにとってはただの日常。

憂雅の話を淡々と聞いている自分に気が付き、ずいぶんヤクザというものが板についてきたと感じた。



「ちなみに流星と星奈の生みの親も半年前に死んでた。
脱法ドラッグで頭がイカれちまって、橋の上から身投げしたらしい」

「……それは本当に偶然か?」

「さあ、俺の知ったこっちゃないね」



が、含みを持たせた言葉に思わず聞き返す。

憂雅は煙草を咥えたまま笑ってのらりくらり俺の視線から逃げた。


……怒ってたもんな、憂雅。

俺は知っていた。

幼い子どもをゴミ箱に捨てるなどと、非道な行いをした流星と星奈の両親に。

そして憂雅は怒らせると一番タチが悪いタイプだと。

温厚な性格だが、一度怒ると陰湿で悪質な仕返しをする人間だ。

怒りの度数が0から100であった場合、普通の人間が徐々に数値が上がっていくのに対し、憂雅は急に100になるタイプだから本当にヤバい。

相棒として頼りがいがある。

だがヤクザとして申し分ない資質がある憂雅を本能的に恐れる自分がいる。
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