君をトリコにする方法
深々と頭を下げる男性と、綺麗な女性……?

一体なにがあったんだろう……



「修羅場か?」

「さあ?」



見ていた人たちはすぐに興味が失せたのか、自由に動き始める。


だけど私は視線を外すこともできず、ひとことも話せないままだった。



だって、あの綺麗な女性は――



心臓が嫌な音をたてる。


頭を下げていた男性は申し訳なさそうにしていたけれど、すぐに出口の方へと走っていく。


残された女性は男性が走っていた方向をしばらく見つめ、そしてこちらを向いた。


私たちの方を見て、悲しげだった表情は驚きに変わる。



「あれ、瞬じゃん!」

「ん?あー、花音か」

「こんなとこで奇遇だね~、久しぶり!」



にこにこした顔で近づいてくる綺麗な女性はやっぱり水野さんだ。


私たちの隣のクラス。


入学したときから美人だと有名で、そして性格もいいととにかく有名な人。


去年、瞬と水野さんは同じクラスだった。


そしてふたりは『付き合ってる』としばらく学校中で噂されていた。


思えば水野さんとの噂を聞いてからかもしれない。


『変わらず瞬のそばにいる方法』を意識し始めたのは。
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