ハツコイぽっちゃり物語
chapter4

初デート


――季節は冬。


期末テストが終わってからはあっという間に季節が過ぎていった。
もうほんと言葉の通り“あっという間”。


夏休みは、グータラしてる方が多かったけど、ちーちゃんと一緒に先輩のバイト先へ行ったり、映画を見に行ったり。


先輩は大学受験の方でバイト以外ではなかなか会えなかった事がほとんど。それでも楽しく過ごせたのは夜のビデオ電話のおかげかな。


でもやっぱり先輩に会いたいと思ってしまって……。
そんな時先輩から《お祭りに行かない?》と電話があったんだ。


一緒に屋台を巡って、一緒に花火を見て……。


付き合って2ヶ月目に入ってはじめて手を繋いだ。サラサラしてた先輩の手。そして何よりあたたかかった。私は手に汗かいちゃって引っ込めようとしたのにちゃんと離さずに握ってくれた。


夏休み休み明けは、文化祭に向けての準備で忙しくなる。


私たちクラスはたこ焼きを出店で出すことになって、文化祭当日はしっかり売り上げ、ちゃっかり完売。
先輩とも一緒に廻ることが出来たし、もう充分なくらい幸せだった。



そして11月――葵生先輩の大学受験。


てっきり先輩は成績優秀だから一般入試で行くかと思ったけど、指定校推薦を選んでいたみたい。
だから直ぐに結果が出て、見事合格!


ちょうど報告を受けた日は図書委員の日で、晴菜ちゃん、司書の松原さん、私でお祝いした。


お祝いといってもパーティーではなくて、『おめでとう』の言葉と松原さん持参の小さなお菓子で。

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