ハツコイぽっちゃり物語
「ねえ」
「あのさ」
神社を出たすぐのこと。
私たちの声が重なった。
「いいよ恋ちゃんからで」
「いいよ千桜からで」
続けて重なる声に2人して笑う。
こういう時決まって恋ちゃんは私を優先するから、ちょっと気になることを聞いてみた。
「恋ちゃんはちーちゃんのどこが好きなの?」
「え"」
何故か顔がひきつっていく彼。
なんでそんな顔をするのだろうと首を傾げると、言葉を濁しながら「……全部」と答えた。
自分で聞いといてちょっと傷付いてしまった私だけど恋話を聞くのは嫌いじゃない。
全部って便利な言葉だと思うけど、納得してしまう私はそう言ってもらえて嬉しかった。
だって私もちーちゃんの全部が大好きだから。
「そっかあ、全部かー。わかる。ちーちゃん可愛いし、かっこいいし、ほんと全部好きになっちゃうもんね。わかるよ」
「……まぁ、うん………そんなに嬉しいの?」
「え? 嬉しいに決まってるじゃん。大好きなふたりが付き合ってるんだよ? 嬉しいに決まってる」
またそう言って傷付く。
それを笑顔に変えて吹き飛ばした。
「決まってる、ねぇ……そっか……」
「だから2人のこと応援して、」
「ありがと。もういいよ、なんか恥ずいから……、さ」
そっぽを向いた彼の表情は見えないけど、『恥ずい』と言ったから照れているのだろう。
その顔を見たくて覗き込もうとするけど空いている手で制して「見んな」と言った声はちょっと怒ってるようにも聞こえた。