ハツコイぽっちゃり物語
「千桜」
名前を呼ばれて彼を見上げた。
ここで恥ずかしがってるともっと変に思われそうだから。
でもやっぱり顔をあげない方がよかったと後悔したのは口の中で肉まんの味がしたから。
「へへ、隙あり」
私の反応を楽しむように笑っている恋ちゃんに胸の奥がキュンとした。
うわあ、どうしよう。
好きだ。私、恋ちゃんが好き。
……う、な、泣きそう。
昔も今も変わらない。
忘れてた。恋ちゃんはいつも不意をついて食べさせてくるんだった。
昨日だってそう。大福ひとかじりしただけで私に……。
「恋ちゃんてなんでひと口齧って私に渡すの?」
って、何を聞いてるんだ私は。
でもずっと不思議だったんだ。
しかも私の大好きなものに限ってそうしてくるんだもん。
そりゃ好きなものを貰えて嬉しいけど……。
恋ちゃんの分なのにひと口ってちゃんと味わえてるのかな?とか、
私に遠慮してる?とか、
最終的に思ってしまったのは、私を太らせてるんじゃないかって……。
今は、一応キープしてるつもりでいるんだけど。
本当はもっと太れなんて思ってる?
我ながらにして酷い思い込みだよね……。
「ごめん、変なこと聞いて、」
「何言ってんの?千桜の幸せそうに食べる顔が見たいからに決まってんじゃん」