ハツコイぽっちゃり物語

「千桜ってほんと餡子好きだよな」

「…っ、うん好き」

「昨日だって全部食べようとしたんだろ?ま、美味しいから分かるけどさ」

「あんこ物は全部私の元気の源だもん」

「ははっ、そうだよな。千桜といったら餡子だし。家んちにもいつ来てもいいようにって母さん常備してるし」


恋ちゃんはチラッと私に視線を向けて笑ってる。ちょっと呆れてるようにみえたけど、まあいっか。


私の餡子好きは一生変わらないだろうな。きっと。


「あ。恋ちゃんもどーぞ」

「え?」

「え、っていつもそう……」


言いながら恋ちゃんの口元に近づけたちぎったあんまんが止まる。


いやいやいや、『いつもそうじゃん』じゃないじゃん!
何やってるの私。
つい、にも程があるよ。


幼馴染だからってもうこんな事しちゃダメじゃない。恋ちゃんには彼女がいるわけだし、手を繋いだのだって恋ちゃんの許可があってからで、そもそも私たち付き合ってないし。


「ご、ごめんねっ。いや、つい、いつもみたいにそうしちゃったってだけで……」


引っ込めたあんまんは自分の口に運んだ。
もぐもぐしながら大反省する。


恋ちゃん何も言わないし、もう変に思われても仕方ない。
顔は見れない。自分の行動が恥ずかしくて。
もう高校生なのに。
『あーん』なんてカップルか小さい子がやるようなものなのに。


わーーーはずかしっ!
穴があったら入りたい!今すぐにでも!

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