ハツコイぽっちゃり物語

先輩はやっぱりずるい。
そして先輩はやっぱり無自覚なんだと思う。


よくそんな平気な顔をして頭に手を……。


先輩は私がどんな気持ちでいるか当然知らないけど、こんなことされたらもう、ダメ。

好きがまた増えちゃうじゃないですか。
どうしてくれるんですか。


あーもう。
明後日、先輩が勤めているカフェに行くのにこれじゃまともに目も合わせられないよ……。


帰り道は生温い風に煽られながら家を目指すけれど、先輩のせいで逆上せそうなくらい体が火照っていて、

まだこれから梅雨の時期だっていうのに、季節は夏なんじゃないかってくらいじんわり汗をかいている。



――決めた。



私、痩せる。
そして先輩に告白する。

そしたら先輩の隣に立っても少しはマシになるかもしれない。
……て彼女になれる確証はないけど。
でも、まずは先輩に振り向いてもらえるように頑張らなきゃ。


そしてもうひとつ。



――もう恋ちゃんと一緒に登校するのもやめる。

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