Gypsophila(カスミ草)~フラれ女子番外編
『なぜ、そういった考えに至ったのかね?』
お父様は一概に否定も反対もせず、ぼくの話を聞く姿勢を見せてくださる。
いくら愛する女性との嫡男とはいえ、8つの子ども。普通なら頭ごなしに否定し押さえつけようとするだろうに、さすが公爵家をより大きくした辣腕。子ども相手でも対等に扱ってくれる。
『はい……まず、第一にマリアは父方で公爵家と母方で侯爵家の血を引いています。どちらもグレースの名門であり、純粋なグレース人。オーベン公爵家を継ぐものは、彼女の方が王侯貴族の反発は少ないでしょう』
『ふむ……』
お父様は顎を指先で撫でる。考え事がある時の癖だ。
『……聡明なおまえだから、とっくに勘づいているとは思ったが。やはり、敏感に感じ取ったな』
『はい。それに、ボクは嫡男とはされていますが、公式に公爵家の後継者に指名されてはいません。だから、今ならまだ間に合うでしょう』
グレース王国の奇妙な習慣で、貴族の後継者は第一子が十になる誕生日に定めるとされる。たとえ子どもが一人しかいなくても、数人いようとそれは法律で決まった絶対的なもの。おそらく、昔は子どもがたくさん生まれても無事成長するのは稀だったから、その時からの習慣だろう。
ちなみに、後継者を決めるのは現当主の大切な仕事。十にもなれば子どもに問題あるかある程度把握できるから、議会の承認を得れば他の血縁者を指名もできる。
今回はそれを利用しようと思ったんだ。