雨は君に降り注ぐ
その封筒の中に入っていたのは、手紙だけではなかった。
何枚かの、…写真?
そこに写っているものを見て、私は戦慄した。
その写真にはすべて、私が写っていた。
理子と学食を食べている私。
バスケのシュートを決める私。
講義を聞きながらノートをとる私…。
こんな写真、どうやって撮ったんだろう。
はっきりしていることは、2つ。
これを送ってきたのは、あの黒フードの男だということ。
これを送ってきた人は、私のことをよく知っているのだということ。
この男には、私がここに住んでいるということを、知られている。
この男には、私が青葉大学の生徒だということを、知られている。
つまりこの男は、私の詳しい個人情報も、知っている可能性が高い。
そして多分この人は…青葉大学の関係者。
そうでなければ、こんな写真は撮れないだろう。
学生なのかもしれないし、教師なのかもしれない。
どちらにせよ、青葉大学に自由に出入りできる人なのだろう。
そう考えると、鳥肌がたった。
このストーカーは、思ったより、私の近くにいる存在なのだ。
私が大学にいる間だって、どこかからこっそり見ているのかもしれない。
私が家にいる間だって、どこかからこっそり…
私は勢いよく立ち上がった。
窓へ歩み寄り、乱暴にカーテンを閉める。
そうだ、どこから見られているのか、分かったものではない。
今この瞬間も、私はあの黒フードの男に、監視されているのかもしれない。
カーテンを閉めると、私はベッドへもぐりこんだ。
頭から布団をかぶり、目を固く閉じる。
怖くて怖くてしかたなかった。